Belong to ME #04|アーティスト 李 漢強

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卒業して日本で働く。台湾に戻る選択肢はなかった。

Q11. アーティストとして独立したタイミングは?
デザイン事務所を辞めた2016年のときです。仕事は最初は楽しかったんですけど、仕事をしながら、いろいろ考えちゃうんですよね。クライアントの要求に応える商業主義的なデザイン、自分には向いてないなっていうことに気づいて。台湾でも日本でもデザインの勉強してきたのに、憧れのデザイン事務所で働いて、結局自分に向いてないっていう事実は、結構ショックでした。

でも当時ひとつ、すごくいいことがありました。通勤が井の頭線だったから、仕事が終わった後に事務所がある原宿から渋谷まで、歩いて帰っていたんです。ほぼ毎日。その途中にタワレコがあって、それがすごいよかったんです。渋谷はタワレコですよ。あそこに1人で行って、いろいろ音楽を聴いて、当時は7階にあった本屋にも通って、なんかいいこともあるなって。

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Q12. 仕事や生活がつらいとき、台湾に帰ろうとは思わなかった?
それは思わないですね。日本でやってこうと最初から決めてたんで。途中で台湾帰るのはまずないです。思ったことないです。日本に行くと思ったときに、それを決めたんですね。それで親に「留学させてください」って言っていて。

日本で働く前提での留学です。造形大を卒業して日本で働く。それは別に親に言われてないですけど、でも自分の中にはもうそれしかないんですよ。戻る選択肢はなかったです。

Q13. デザイン事務所を辞めたあとの活動はどのように?
ちょうど辞めるタイミングで新宿眼科画廊で展示をしたり、その後に、ソウルアートブックフェアに参加したり。ちょっと運が良く、いろんなところに声掛けてもらえて、だから割と忙しかったんですね。

でもやっぱり、アーティストとして独立するのは、簡単にはお勧めできないですね。すごく覚悟は必要ですね。まずビザが大変。

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いまはアーティストビザを持ってるんですけど、それをゲットするの、ものすごく大変。ものすごく書類たくさん用意したんです。A4の紙、本みたいな量を提出して。推薦書、今までの活動実績の証明、海外の記事とかも、全部日本語で訳さなきゃいけない。いろんなかたに手伝ってもらって提出しました。

それでも最初の期限は一年間です。だから年末、そろそろ更新しないといけないんです。すごい大変。本当にそれはもう、やばいです。まずそれですよ。それをクリアしてから税金の問題です。

Q14. いまの1日のスケジュールは?
まず朝8時に目が覚めます。なぜなら、朝のラジオが自動的に8時にJ-WAVEかけてくれるんですよ。あれを変えるの面倒くさいから、もう何年間も朝8時にJ-WAVEの『TOKYO MORNING RADIO』っていう別所哲也さんの番組を聴いています。

それを朦朧と聴きながら9時でラジオがまた自動的に止まるんです。そこから二度寝が始まります(笑)。

それで10時ぐらい起きて、風呂に入って、今日の作業の準備をして、アシスタントが12時に来るんですよ。毎日じゃないですけど、忙しいとき。それから夜22時までずっと作業です。

Q15. いまはギャラリーなどには所属していない?
入ってないですね。いい話があればぜひ、入ってもいいと思っています。

Q16. 現在のスタジオ兼自宅がある、小平を選んだ理由は?
やっぱり西武線、家賃が安いからですね。東京23区ではないですけど、ぎりぎり東京都で安い。小平は急行も止まるし、ここがぎりぎりです。小平から先は嫌です。

新宿まで25分ですよ。だから小平すごくいいです。武蔵美もあってアートの環境、何となく近い。まぁ全然、近くないですけど(笑)。近いイメージあるじゃないですか。

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Q17. 毎日アップしているインスタグラムの『juicebox selfie』をはじめたきっかけは?
始めたのが4年前ですかね。理由は別に何もないです、突然に。普通の写真アップしてもつまらないと思っていて、そのとき気付いたら毎日、なんかしらジュース飲んでいたんです。じゃあジュースの写真撮ろうかと。それで始めました。そこから毎日ですね。

Q18. 今日アップできないかもっていう日はなかった?
それはありますよ。ほぼ毎日(笑)。実はたまに抜けてる日がありますけど、大体毎日です。年3、4回ぐらい抜けてる。

Q19. ジュースはストックしている?
持ってないです。ストックせずに買いに行ってますね。近所の西友とか、何となくその日にいる近くのお店で買って飲むのがいいなって。外国に行くと、その土地のジュースを飲みます。

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Q20. 李さんが制作する一番のモチベーションは?
モチベーション?と言いますとなんですか?

ー作家活動を続ける動機というか
だって、それしかないんですよ。デザイン事務所で働いて、アーティスト以外のことをやってもNGだったっていうのが実証されたんですよ、一回。だから、今のところはこれが私がやって一番有意義なことじゃないかなって、勝手に思っているので、これしかないんです。これ以外のこと、ちょっと当面はないんです。

Q21. 今後の展望は?
日本をベースにして、台湾、中国、韓国とか、滞在先でも制作できるといいですね。来年は中国で展示したいです。

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【編集部より】
ーー「M.E.A.R.L」では近日、李 漢強さんによる新連載を開始予定。どうぞご期待ください。

李 漢強 / Lee Kan Kyo
台湾人アーティスト。東京造形大学大学院(造形専攻)修了。
幼い頃から見ていたTV番組で、日本のエンターテインメントに魅力を感じ、2007年来日。
スーパーのチラシ、週刊誌、ポイントカードなど日常的なモチーフを対象とした創作で、東京のみならず台湾、韓国、中国などに活躍の場を広げている。第10回グラフィック「1_WALL」グランプリ受賞。
http://www.leekankyo.com
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