From YOUth #02|fuzkue 阿久津隆

1

成果を求めすぎる“窮屈な読書”は必要ない

Q10.読書する人がもっと増えてほしい?

僕は読書が好きだし、読書している人のことも好きだけど、「人々はもっと読書をするべきだ」みたいな気持ちは全くないです。「読書は大切」みたいに変に持ち上げるのって、めちゃくちゃ気持ち悪いですよね。

読書は無数にある趣味の選択肢の中の1つでしかなくて、それはスケボーが趣味の人にとってのスケボーとなんら変わらない。

Q11.最近、新しく始めた取り組みは?

去年の9月から「会話のない読書会」というイベントを行っています。一般的な読書会は、参加者同士で本の感想を交換し合うと思うんですけど、「fuzkue」でやっている読書会は、みんな無言でひたすら同じ本を読むだけ。時間内に読み終わることも、イベント後に意見交換することも、何も強制しません。

Q12.「会話のない読書会」は、どういった発想から生まれた?

映画館で映画を観るときって、基本的には見知らぬ人と無言で同じ映像を鑑賞しますよね。見て、終わって、帰る。特に交わるわけではないけれど、一人で見るのとはやっぱり体験の質が全然違う。そこには何かしらの豊かさがあると思う。そういった豊かな体験を、読書でも作ってみたかったし、僕がそんな光景を見てみたかったのが始まりです。

それから、賢い感想とか意見とか、学びとか気づきとか、読書って何かと成果みたいなものが必要とされがちだと思うんですけど、それを意識すると読書自体が窮屈なものになってしまう。僕はそういうところから離れて、読んでいる時間がただ楽しい、読んでいる行為がただ楽しい、以上、最高、みたいなところを示したかった、というのもあるかもしれません。

_N0A5253-1

普段使いではなく、特別な「孤独」を過ごせる場所として

Q13.お気に入りのお店はある?

栃木県黒磯市の「1988 CAFE SHOZO」と、最近はまったく行っていないんですが西原の「パドラーズコーヒー」。僕は人間が人間らしく働いているお店が好きなんですけど、「1988 CAFE SHOZO」はスタッフがどの方も機械的でなく、その人らしく、かつショーゾーらしく働いているように見える。常に10人くらいは立っているのかなと思うんですけど、その規模でそれが実現できているのがすごい!

「パドラーズコーヒー」は、今もいらっしゃるかわからないんですが、かっこいいおばちゃんが立っていて、それを見たときに「最高だな」ってなりましたね。

Q14.かっこいいおばちゃん?

なにかとかっこいいお店だし、スタッフみんなおしゃれなシティボーイ・シティガールみたいな感じでもなんら違和感はないと思うんですが、そこにおばちゃんも立っている。そのこと自体がお店として町に向けて開いていることへのメッセージになっていると思うんです。

「インスタ映えするねー」とか言って、写真をパシャリで消費されて終わる場所ではなくて、しっかり町の暮らしの中に根ざしている。そういう意図や意思を感じる。代表のお二方が同い年くらいだと思うんですが、同年代として、かっこいいなと思います。

_N0A5333-1

Q15.初台で通っているお店はある?

近くの八百屋さんの「八百康」だけですね(笑)。最近お中元をいただきました。

Q16.けっきょく初台に対する印象は、3年間変わらなかった?

いや、町の人との関わりが一切ないだけで、僕は初台自体は大好きですよ。ここまで新宿渋谷に近くて、騒がしさがなく落ち着いている場所ってなかなかない気がします。都会の中のエアポケットのような存在というか。少なくとも、僕は初台を選んで失敗したと思ったことは1度もないです。

Q17.これから「fuzkue」は、どういった存在を目指す?

「ゆっくり本が読める場所がほしい!」と思っているすべての方にとって、何も気にせずくつろいで本が読める場所であり続けたいのはもちろんなんですけど、それでいてちょっと自分に対するご褒美の時間としての「fuzkue」になったらより嬉しい。「今週仕事が終わったら週末には『fuzkue』に行けるぞ!」みたいな。

だから、町の人に向けたデイリーユースのお店になりたいわけでは全然ないんです。それぞれお店によって性質が違うのでどっちがいいという話ではなく、「fuzkue」の場合は週1・月1・年1とかで「フヅクエの日」みたいな、それが楽しみなイベントになるような、そういう存在になりたい。

_N0A5339-1

PROFILE
阿久津隆 / Takashi Akutsu

1985年、栃木県生まれ。大学卒業後、金融機関に入社。3年間営業として働いた後、岡山にて「cafe moyau」を立ち上げ、店主として仕事を行う。2014年10月、東京・初台に「fuzkue」をオープン。
1
この記事が気に入ったら
いいね!しよう