出かけたその町で何をして、何を持ち帰ったのか。その町の要素を自宅に持ち帰ったエヴィデンスとして残るもの。例えばレシートがそうだろう。その町で過ごした時間が記録された紙片の裏に、写真家・黑田菜月が日常を綴る。そこから何が見えるか。
Text / Photo:Natsuki Kuroda
Edit:Shun Takeda
2019年 3月と4月のダイアリー
3月20日|デイリーヤマザキ 木更津駅前店
外に出たら真ん丸なお月様。
コンビニの横でたむろうぼうず頭。
中華マン。トイレの芳香剤のような臭いがただようスパークルシティ。
ここは木更津。
4月4日|ファミリーマート 上野公園店
みたらし団子の上に桜の花びらが落ちてきた。幸運だと思って食べた。もしかしたら隣にいた人は驚いていたのかもしれない。
4月10日|セブンイレブン 六本木三丁目店
手の感覚がなくなるような寒さ。
傘をさしながらコンビニの外で雨と強い風に吹かれながら、
私はまたもやとんかつサンドを食べている。あと3分で食べきらなくちゃ。
4月11日|生鮮市場 ヤオシチ
地下鉄から階段を上がって外へ出ようとすると桜の花びらが散らばっていた。
でも近くに桜の木は見当たらなかった。この花びらはどこからやってきたのだろう。
家に帰ってラジオをきいている。いつもより少しばかり静かな放送。
他者の苦痛を測ることについて考えていた。
黑田菜月 / Natsuki Kuroda
1988年生まれ。2011年、中央大学総合政策学部卒業。2007~2011年、早稲田大学写真部在籍。2012年、第8回写真「1_WALL」グランプリ受賞。
https://www.kurodanatsuki.com/
1988年生まれ。2011年、中央大学総合政策学部卒業。2007~2011年、早稲田大学写真部在籍。2012年、第8回写真「1_WALL」グランプリ受賞。
https://www.kurodanatsuki.com/