Scramble City #01|蔵前 From Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE 宮嶌智子

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日本各地に増え続けるゲストハウスには、国内外を問わず、日々様々な背景を持った人々が訪れる。本企画では、そんなゲストハウスを、外部から見た「町のイメージ」と内部から見た「町のリアリティ」の行き交う“交差点”と位置付け、そこで働くスタッフの方々に等身大の「町の姿」をたずねる。

初回に伺ったのは、都内の飲食スペース併設型のゲストハウスの第一人者とも言うべきゲストハウス「Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE」。現在ほど注目されることの少なかった蔵前に、2012年の9月にオープンした同店は、その後蔵前はもとより東東京エリアの盛り上がりを実際に目の前で体験してきた。若い店主による新規出店が相次ぎ、巷では「東京のブルックリン」とも呼ばれる蔵前という町を彼らはどのように眺めているのか。「Nui.」運営元・株式会社Backpackers’ Japan創業メンバーの1人、宮嶌智子さんに話を聞いた。

text:Yosuke NOJI
photo:Ryuichi TANIURA
Edit:Shun TAKEDA

コーヒースタンドなき、“静か”だった時代

ー蔵前との出会いを教えて下さい。

2010年に1号店となる「toco.」を入谷にオープンしましたが、実はそれよりも前に一度創業メンバーで蔵前には来ています。

どんなゲストハウスが東京にあるのか調べるために蔵前のゲストハウスに泊まったのですが、町に対する印象はとにかく“静か”だな、ということ(笑)。いくつかお店はあったんですけど、カフェやコーヒースタンドは少なくて、今のように注目されるとは全く想像していなかったですね。

Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE
Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE

ーそんな“静か”な場所に、2号店となる「Nui.」をオープンした理由は?

私たちのゲストのほとんどは外国人なので、空港からアクセスが良く、なおかつ観光地に近いところ、という観点で場所を探していました。とはいえ、観光地のど真ん中では騒々し過ぎるという感覚もありました。

そんな形で少し外した場所を探している中で、2012年の2月頃に今の物件に出会いました。ここは、もともと玩具の倉庫として使われていたのですが、こんなに天井の高い物件は、そうない。「toco.」の4倍ぐらいの規模だったので、私たちにできるのか少し悩みましたが、2号店をオープンするにあたり、本格的に飲食店もやろうと話していたので、この開放感が最終的に大きな決め手になりました。

ー今は町も「Nui.」も連日賑わっている印象は受けますが、オープン当初はいかがでしたか?

「Nui.」がオープンしたのと同じ時期に、隣に寝かせ玄米で有名な「結わえる」さんが移転されてきましたが、基本的には相変わらず町は“静か”でした。道行く人の数も少なく、飲食やゲストハウスが軌道に乗るまで、1年〜2年ぐらいはかかったと思います。

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ーその1年〜2年の間で、何か町に変化があったんでしょうか?

今も定期的に開催されている「月イチ蔵前」というイベントに参加させてもらうようになったことが変化の兆しだったのかもしれません。蔵前のお店がそれぞれものづくりのワークショップを開催したり、限定のお菓子を販売したりする月に1度のイベントなのですが、「Nui.」は知り合いの農家さんから送ってもらった野菜の販売を行いました。

この取り組みをきっかけに、近所の方から知ってもらえるようになり、宿泊されるゲストの方以外にも広くカフェやバーに来てもらえるようになりました。

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