転写民芸

私たちは陶器に挟まれて生きている|シシヤマザキインタビュー

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人間は入り口と出口を陶器に挟まれて暮らしている

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──今回のシシさんの作品について聞いていきたいと思います。まずこの型をチョイスした理由はなんだったのでしょう?

シシ もともと私が手びねりで作る陶器も、お尻や花びらのようなエッヂになることが多かったんです。そういう形が自分のスタイルに合うと思っていたので、ストックからピックアップする際に、自ずとこのやわらかくて有機的なシルエットの型を選んでいました。他にもギザギザした型を候補にしたり、蓋つきのどんぶりもかわいいなと思ったりしたんですけどね。 

──転写された絵柄はどのように発想したのですか?

シシ 私は顔をモチーフとして作品を作ってきました。アニメーションでも自分の顔をキャラクター化してきましたし、1日1つ顔のデザインを描いていくライフワーク・プロジェクト「MASK」にも取り組んでいます。だから当たり前に、「この型に顔を載せたらヤバいんじゃないか?」と思ったんです(笑)。

すぐにイメージが湧いたという、作品のスケッチ
すぐにイメージが湧いたという、作品のスケッチ

具体的な制作プロセスとしては、型を選んですぐにその場で写真を撮り、その上から下書きをしました。そして、家に帰ってデータを作り納品という流れです。

幸楽窯で型を決めて、その場で下書きを施した。
幸楽窯で型を決めて、その場で下書きを施した。

シシ 型を見た瞬間に十分インスピレーションを受けたので、その時に描いたドローイングと完成品は、ほとんど変わってないと思います。

──デザインにおいて特に意識した点はどこでしょう?

シシ 顔が1つだと裏表ができてしまうので、器を回した時に両方から顔が見えるように、2つの顔を転写しました。一応、「阿吽(あ・うん)」になってるんですよ。実は今日はじめて完成品を見たんですが、実物はやっぱり透明感がありますね。転写体験をした時から感じてましたが、光沢があるけどザラつきもある、この感じが素敵です。

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──シシさんにとって、改めて陶芸の魅力とは何でしょうか?

シシ そもそも陶器って、普段から食器として口につけるものであり、トイレではお尻につけるものでもありますよね。つまり、私たちは内臓の入り口と出口を陶器に挟まれた状態で、日々の営みを送っているわけです。そう思うと、ロクロを回して陶器を作る感覚と、日常のサイクルが繋がってきます。また、熱せられることによって形ができあがる陶器と同じように、体の中で熱が燃えることで人間はできあがっています。だから私たちは、陶器という土から来ているものと、一緒にぐるぐるダンスをしながら生きているんだな、と感じるんです。陶器と自分の身体性、もっと言えば生きることが繋がっているということが最大の魅力ですね。

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シシ そして「転写民芸」の魅力は、プリントのようにも、絵の具のようにも質感を再現できるところ。絵付けと見分けがつかないような転写もできますよね。そうなると、「オリジナルかコピーかどっちなんだろう?」という表現もできるのではないでしょうか。あるいは、転写と絵付けを組み合わせてもおもしろいかもしれません。転写した上にさらに絵筆で描き足したら、一点モノにもなりえます。そういったアート作品と民芸品の間を行き来するような、プロジェクトになったらおもしろそうですね。

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PROFILE
シシヤマザキ / ShiShi Yamazaki

アーティスト
水彩画風の手描きロトスコープアニメーションを独自の表現方法として確立。
Chanel、PRADAや資生堂などのブランドのプロモーションイメージの制作を担当し、世界的に活躍している。
オリジナルアニメーション「YA‐NE‐SEN a Go Go」(2011)、「やますき、やまざき」(2013) は国内外問わず数多くのフェスティバルで上映され、反響を呼ぶ。

2018年には、Forbes 30 Under 30 Asia list – Class of 2018 に正式に選ばれる。
ライフワークとして一日一個の顔「MASK」を毎日作り続けるプロジェクトも行う。(2010〜現在)
2017年よりクリエイター集団「1980YEN」(イチキュッパ)のとして楽曲制作や各地でのライブパフォーマンス、アートプロジェクト等を行っている。

website : http://shishiyamazaki.com/
Instagram : https://www.instagram.com/shishiy/
Facebook : https://www.facebook.com/shishiyamazaki.official/
Weibo : https://www.weibo.com/6351196275/

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