目を引くブースがひしめき合う韓国のブックフェア「Unlimited Edition 11」巡回レポート

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4. BOWYER
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『2020 CALENDAR PIN!UP!CAL!』
『2020 CALENDAR PIN!UP!CAL!』

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日本の友人から代理購入を頼まれたのがきっかけで、デザインスタジオ「BOWYER」のリソグラフ・カレンダーを知った。このスタジオは今回ブース出店している映画雑誌「PRISMOF」のデザインも手掛けており、くっきりとメリハリの効いたグラフィックが格好いい。今回のカレンダーは、ドット絵を拡張したような手法が酒脱だ。普段カレンダーはあまり買わないのだが、気に入ったので自分用にも追加で購入することにした。

5. 6699PRESS
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『하숙집 형들과 나루토(下宿の兄さんたちとナルト)』
『하숙집 형들과 나루토(下宿の兄さんたちとナルト)』

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温泉マークが目を引く「6699PRESS」のブース。昨年の銭湯本『서울의 목욕탕(ソウルの銭湯)』が一部の銭湯ファンの間で話題になり、和訳冊子付きのバージョンを増刷したという。今年は、日本の漫画家・野原くろ氏の漫画から猫がいるコマを編集した新刊を販売。6699PRESSの이재영(イ・ジェヨン)氏は、日本でも人気のシンガーソングライターであるイ・ラン氏主宰のメルマガ『アリババと30人のチングチング』でインタビュー記事を連載していたが、その初回には野原くろ氏が登場。

6. NICEPRESS

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『SPREAD 1』
『SPREAD 1』
アクセサリーブランド「SEOUL METAL」のインタビューページ
アクセサリーブランド「SEOUL METAL」のインタビューページ

「NICEPRESS」は、アートディレクターとコンテンツディレクターの2人によるスタジオだ。6名の女性クリエイターへのインタビューをまとめた『SPREAD』の第1号を販売。元々は、運営するセレクトショップ「NICESHOP」のウェブで連載されたものだ。第3回に登場するアクセサリーブランド「SEOUL METAL」の조유리(チョ・ユリ)氏はDJ Selfieとしても活動し、レギュラー出演するパーティー「NO CLUB」は東京で開催されたこともある。

Extra: 冷たい麺と熱いチムジルバン

平壌冷麺の名店、議政府駅「平壌麺屋」

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実は今回、UE11に来た足で必ず行こうと決めていた場所がある。ソウルの北、議政府(ウィジョンブ)市にある「平壌麺屋(ピョンヤンミョノク)」だ。平壌冷麺の奥深い味に覚醒して以来、ソウルを訪れる度に少しずつ店を回ってきた。

ソウル市の中心部、乙支路3街(ウルチロサンガ)に「乙支麺屋(ウルチミョノク)」、忠武路(チュンムロ)には「筆洞麺屋(ピルトンミョノク)」という名店があるが、その2店の経営者は実の姉妹だ。今回行こうとする「平壌麺屋」は、その姉妹の母親が議政府で創業した総本山。ソウル中心部からは距離があるが、UE11会場最寄りの下渓(ハゲ)駅からなら20分ちょっとで行ける。

麺を啜ると、香しい蕎麦粉の風味が鼻に抜ける
麺を啜ると、香しい蕎麦粉の風味が鼻に抜ける

冷麺が好きな韓国人は、決まって「冷麺は冬の食べ物だよ」と口にする。オンドル(朝鮮式の床下暖房、漢字で書くと「温突」)で温まりながら冷たいスープを啜るのが悦びなのだという。まだ本格的な寒さは始まっていないものの、気温が低い時期に食べる冷麺はキリっと引き締まって格別だった。韓国料理は「とにかく赤くて辛い」印象があると思うが、この透き通った美味しさはそれとは全く違うものだ。

日本のサウナーにお勧め、ソウル駅「シロアムサウナ」

「温」と「冷」の対比と言えば、やはりサウナだ。韓国のサウナ施設は「チムジルバン」と呼ばれ、岩盤浴に近い「汗蒸幕」スタイルがメイン。着衣で釜で熱された房に入り、汗をたっぷりかいたら休憩所でダラダラ雑魚寝する。チムジルバンは日本型のサウナとは「別文化」で、別途サウナが併設されている施設が多い。今回の滞在では、毎晩違うチムジルバンに行ってみた。

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今回巡ったチムジルバンの中でも日本のサウナーにお勧めしたいのが、ソウル駅近くにある「실로암사우나(シロアムサウナ)」。

実はこれまで、チムジルバン内に併設されたサウナで満足できた経験があまりなかった。しかし、ここの適温・高湿なサウナ室としっかり冷たい水風呂、それに寝椅子を備えた休憩スペースは、日本のサウナと変わらないやり方で「ととのう」ことができる。旅行者の間ではアクセスの良さで有名な施設だが、もっと早く来ておけば良かった。

なお日本型サウナとは「別文化」としてのチムジルバンを楽しみたい場合は、新村(シンチョン)駅の「숲속한방랜드(森の中韓方ランド)」がお勧め。こちらも初めて行ってみたが、豪快なDIY感と歴史を感じさせる施設で、バーベキューができる休憩所まであった。「ととのう」のとはまた別次元の気持ちに着地できる場所だ。

新村『森の中韓方ランド』の雑魚寝スタイル
新村『森の中韓方ランド』の雑魚寝スタイル

〈まとめ〉

ソウルに来る時は、決まってスケジュールが破綻する。前回行けなかった場所、まだ食べたことがない食べ物、直前に知るイベント……。今回の旅もUE11をメインに据えていたはずが、みるみる予定表が膨れ上がった。結局毎回、だいたいのことをやり残してギリギリの時間に空港へ向かうことになる。トランクはUE11で買った物でパンパンで、ほとんどファスナーが壊れかけている。

韓国のリトルプレスを日本で買う場合、入手経路はかなり限られる。今回、いくつか日本のショップでも入手できる物を挙げたが、現地のクラウドファンディングで作られる場合などはプロジェクト支援自体のハードルが高い。

UEのように数多くの制作者が一堂に会し、訪問客の関心も高いイベントは、現地のリトルプレスの熱気を生で浴びる格好の機会となる。興味を持った物を制作者の手から直接買うのは、非常にエキサイティングな体験だ。現場ベースの出版物を通じた交流がより活性化し、国を越えた制作チームがさらに生まれ続ける未来を思い描く。来年はまたここにブースを出すことを決意しつつ、帰りの飛行機に乗り込んだ。

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