M.E.A.R.L’s フィールドノート #02 | 幸楽窯五代目 徳永隆信

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先進的なまちづくりの取り組みを支えるキーパーソン。既存の様式に捉われず、独自の思考や切り口で事業や創作活動を行う起業家やクリエイターたち。

M.E.A.R.L’sフィールドノートでは、M.E.A.R.Lのプロデューサーである、寺井元一、小田雄太が、日本各地の現場を歩き、フィールドワークの中で出会った、「まちの戦術家」たちを紹介していきます。

第2回は、全国有数の焼き物の産地、佐賀県有田町で150年続く窯元「幸楽窯」の五代目、徳永隆信さん。膨大な量の陶磁器を詰め放題できる「トレジャーハンティング」を始め、有田焼を現代に活かす数々のアイデアと、その実践について。

Q&A:幸楽窯五代目 徳永隆信

M.E.A.R.L からの5つの質問にご回答いただいた。
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(1) Making ーいま何を作っていますか?

有田焼と、有田焼をつくる工程及び施設を活かしたサービス。
例えば、下記のようなイベント・企画を行なっています。

・スウェーデンの陶芸作家、リサ・ラーソンとのコラボレーションイベント「りさや」
 ”有田400年の秋 リサ・ラーソン× 有田陶器市”
  https://lisalarson.jp/arita_lisa/

・有田の景観を活かした出版記念イベント
 ”えんとつ町のプペル展in有田 & キンコン西野亮廣氏 講演会&サイン会”
  http://kouraku.jp.net/pupelle2017/

・連日海外観光客で賑わうトレジャーハンティング企画
 ”【YOUは何しに日本へ?(配信オリジナル)】WEB限定版 YOUはナゼここに?(1)”

・airbnb の運営
 ”有田焼体験学習可能なゲストハウス-Quad Room104″
  https://www.airbnb.jp/rooms/5910452

・アーティストインレジデンス
 ”Happy Lucky Arita”
  https://www.facebook.com/Kouraku.Kiln/

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(2) Economy ーどのようにして、ものづくり、まちづくりを続けていますか?

NPO法人有田町第二のふるさと創生会を2012年設立。
有田焼をモノでは無く、コトで語れる場所として開放しました。
2017年より製造業から製造サービス業に転換することで、NPO法人を幸楽窯に吸収しました。

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(3) Advantage ー自分のアドバンテージ・武器はなんですか?

生まれたときから150年続く窯元を継ぐ事を受け入れていたこと。新しもの好き、好奇心旺盛。
だから、現代の便利なものをどうやって有田焼に取り込めるか常に考えて行動していました。
大学を卒業したあとも、不十分と感じたために勘当同然で東京の大手ガラス会社に就職。
そのおかげで一度外から有田町をみれたことは大変為になりました。

(4) Reach ー何年後くらいまで具体的な計画をたてていますか?(その計画とは?)

何年後どうするかは無いけれど、クリエーターVillageを目指しています。
ただ作るだけの自己満足の場所にだけはしたくない。
有田焼をクリエーターにシェア出来る場所にしたい。
歴史と伝統を渡せる場所という意味で。

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(5) Learn ーこの仕事 (活動)で肝に銘じていること、学んだことはありますか?

一番敷居の低い有田焼窯元を目指しています。
有田焼を使いたいと思うなら、真正面から受けて立ちます。
世の中に笑顔を届けられるモノを届けていきたいです。

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NOTES:遺すだけでなく、活かす場所へ。150年続く窯元の現在形

巨大な倉庫に所狭しと積み上げられた膨大な陶磁器をバスケットに90分間詰め放題できる「トレジャーハンティング」。海外から多くの人々が来窯して予約待ちのこの企画は、魅力的な販売アイデアであるだけでなく、在庫の山を客の自発性で整理して倉庫を空け、埃を被りきったはずの在庫を売上に変える。さらに客の創意工夫を見出すことで器の新しい活用方法を窯元自らも学ぶという、シンプルながら全方位的に価値が生まれる「効く」戦術でもある。

「トレジャーハンティング」だけでなく、1万坪の圧倒的に広大な敷地に自ら「産業遺産」と嘯くさまざまな陶磁器の製造技術を今もサヴァイヴさせ、直営のショップやAirbnbの民泊客室、さらには私設のアーティスト・イン・レジデンスすら開設して未来に備える幸楽窯五代目は、全国有数の焼き物の町・有田を代表する窯元でありながら、どう考えても異端児だ。

今やレジデンスに滞在する芸術家とともに、独創的なプロダクトの量産を密かに企画し始めている。150年の歴史を引き継ぐ男は、やはり只者ではなかった。

(文:寺井元一)

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M.E.A.R.L’s フィールドノート #02 幸楽窯五代目 徳永隆信
幸楽窯 徳永陶磁器株式会社 http://kouraku.jp.net/
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