From YOUth #15 |Daily Coffee Stand 小川優

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あらゆる「商品」が合理的につくられ、対価さえ支払うことができれば、ほぼなんでも手に入れることのできる現代。選択の自由がこれほどまで高まっている時代だからこそなのか、その自由を逆手にとり、これまでにない売り方や作り方を目指す異端者たちがいる。連載シリーズ・FROM YOUthでは、そんな新たな売り方・作り方を志向する20代~30代の「店主」たちの試みをエッジなユースカルチャーと位置づけ、インタビューを通じ、時代を生き抜くヒントを探す。

Vol.15に登場するのは、オープンからが経ち3年半、今年の6月で5年目を迎える東京都中野区野方のコーヒースタンド「DAILY COFFEE STAND」の店主・小川優さん。From YOUth Vol.1のインタビューにも答えてくれた小川さんにお店が辿ってきたこれまでの背景と、2019年10月に同店舗の横にオープンさせたオルタナティブスペース「DAILY SPACE」に対する想いを聞いた。

text:Kenji Noda
photo:Yukitaka Amemiya
edit:Shun Takeda

店の新陳代謝を上げてきた3年半

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Q1. これまでの3年半を振り返ってみてどう感じますか?

ただひたすら真面目に「毎日やってる町のコーヒー屋さん」っていう元々のコンセプトに従って、最初に決めたことをやっていました。でも、毎日失敗の繰り返しでチューニングをしてきた3年半でしたね。

Q2. お客さんに対してどんな印象を持ってますか?

結論からいうと、まずお店自体がすごい良くなったと思います。最初は「Daily Coffee Standってこういうもんだから」っていうのを伝えなきゃいけない作業があったんだけど、3年経ったぐらいから町の人が勝手に使ってくれてる感じが出てきていて。

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Q3. 「勝手に使ってくれてる」というのは?

店主の僕からいちいち「このお店、こう使って欲しいんだよね」みたいなことを意識したり、日常の押し付けみたいなことをやるんじゃなくて、ちゃんと町の人の日常に根ざしてきたっていう感覚です。「みんなの日常の場」っぽくなってきた、というか。

Q4. 具体的にどんな点をチューンナップしていったんですか?

大きいのは「情報の伝え方」の部分ですね。改善する前は「これぐらいで伝わってるだろう」って想定していたものが、思っていたより届いていなかったんです。例えば、カウンターの上にあるメニューボードは自分ではいらないと思っていたけど、あれがないと注文できない人がいることがわかったんですよ。

外から店を見たときに他のコーヒー屋さんと同じような情報設計で商品やその価格がわかるのが大切。そのためのメニューボードと看板がある、っていうことが「このお店は自分でも注文できる」と思えるポイントのようなんですね。

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Q5. 自分の知ってるコーヒー屋さんと同じ仕組みだと知ってもらうことが大事?

そうです、そうやって「見える情報をデザインすることが大事だ」っていう発見を日々やりながら気づいていってます。他にもテイクアウトのカップにしても、わざわざ「テイクアウトやってます」って書くよりも、テイクアウト用にデザインされたカップが目に入ればいい。そうすれば店が混んでいたとしても、あきらめないで入店してくれるんです。また、席に座らないといけないっていうプレッシャーもなくせるんじゃないかな、と。

「どうしたら伝わるんだろう」っていうトライアンドエラーを重ねてきた感覚ですね。

Q6. 「毎日店を開ける」という中で苦労してる点は?

気をつけないといけないなと思うのは、すごく頑張って仕組みも改善していい感じに店が回っているように見えても、その裏でスタッフが疲弊している状況が発生しがちという部分。お客さんが幸せでもスタッフがストレスを抱えていたら意味がないから、お客さんと同じくらいスタッフが「超楽しい!」と感じられる雰囲気になるように心がけてますね。そういうところはオープン当初に考えていた設計の甘さみたいなところがありました。

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Q7. どういう風に効率化してるんですか?

なるべく単純作業を減らしてあげることと、色んな角度でキャッシュポイントを増やしていくことが大事だと思っていて。飲食店って人増やして仕事増やして、の繰り返しみたいなところがあるんです。でも、ただこれの繰り返しだと働く側は結構大変というか、具体的に言うとスタッフ1人1人の収入を増やしてあげることが難しくて。なので、新しくオープンさせた「DAILY SPACE」という場所は、単純にカフェとしての店舗スペースを広げるんじゃなくて、独立した多目的スペースとして設計したんです。

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