インバウンド向け「MAD宿ツアー」に参加して見えた松戸の魅力

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千葉県松戸市は、宿場町として古くから栄えた町。そんな当所にも、インバウンドの波がやってきている。ここで日々、商売をし生活している人たちは、そんな状況をどう考えているのか。

シリーズラストとなる今回は、初回記事で紹介した座談会、そしてシンポジウムを踏まえて出来上がった「MAD宿ツアー」をいよいよ敢行。実際に日本に滞在中の外国人のみなさんに参加いただいた。その模様を一参加者目線からのフォトレポートでお伝えする。

Text / Edit:Shun TAKEDA
Photo:Yutaro YAMAGUCHI

【本事業は千葉県小規模事業者支援提案型事業により実施しています】

特製の枡で乾杯し、ツアーが始まった

今回参加いだいたのは、合計5名。台湾、中国、インドネシアなど出身の外国人の皆さんだ。まちづクリエイティブのオフィス1Fの「MAD City Gallery」にてツアー概要の説明のあと、特製の枡で乾杯。枡はそれぞれにプレゼントされ、ツアーが始まった。

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ツアーの要所々々で乾杯していたのは、地元・千葉県は勝浦の東灘醸造による「鳴海」(なるか)。
ツアーの要所々々で乾杯していたのは、地元・千葉県は勝浦の東灘醸造による「鳴海」(なるか)。

まずは創業180周年を迎える老舗呉服店・葛西屋商店へ

まず一行が向かったのは、創業は1839年にして今年180周年を迎える老舗呉服店・葛西屋商店。中に入ると着物姿でばしっと決めた7代目の中山晃一さんが待っていた。

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参加者の中には着物を着たことがある、という方も。
「着物を着るのは難しいと聞きますが、どうですか?」
という質問が上がると
「難しいというイメージを感じる人が多いけど、慣れれば誰でもスムーズにできます。今日私が着ているものは、慣れれば一人で15分ほどで着られるんですよ」
と答える中山さん。

その後も男性と女性の着物のつくりの差などの細やかな説明に、参加者の皆さんは興味深げに耳を傾けていた。

ツアーは訪れた先のホストに、次の場所まで案内してもらう形式で行われた。
ツアーは訪れた先のホストに、次の場所まで案内してもらう形式で行われた。

名物館長との交流が楽しい「松戸探検隊ひみつ堂」

中山さんの案内で次に訪れたのが、築100年強の古民家で営業している観光案内所である「松戸探検隊ひみつ堂」。ここで松戸の町の魅力を紹介してくれたのが、地元では知らない人はいない名物館長・石上留美子さん。

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参加者が枡を手に持っているのを見つけると、「すてきな枡ね〜」と声をかけ、日本文化として正しい枡の使い方をレクチャー。ここではMahameru Coffeeのオリジナルブレンドコーヒーをいただきながら、おしゃべりに高じた。途中なぜだか話題は恋バナに。留美子さんの旦那さんとのなれそれ話などを聞いていると、場の雰囲気がすっかりとほぐれていった。

女性の参加者は留美子さんの年齢を聞いてびっくり! 思わず「若さを保つ秘訣は?」なんて質問も飛び交った。
女性の参加者は留美子さんの年齢を聞いてびっくり! 思わず「若さを保つ秘訣は?」なんて質問も飛び交った。

季節行事の由来を「八嶋商店」で学ぶ

「次に行くところの店主の八嶋くんは、ずーっと昔からの知り合いなのよ」と留美子さんが案内してくれたのが、提灯や縁起物を扱う八嶋商店。端午の節句を前にしたこの季節。店内に並ぶ5月人形に参加者の皆さんは興味津々の様子。
「日本では香りの強いものは邪気を払ってくれると信じられてきました。お酒もその一つで、神様にお供えする時には蓋を外して香りを立てるんです」
と伝統文化の解説をしてもらう。

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「どういったお客さんが多いのですか?」
という質問に
「孫に買ってあげようと考えているおじいちゃん、おばあちゃん」
と八嶋さんが答えると、「ああ〜」という声と笑顔が広がる。孫への強い愛は万国共通のようだ。

個性的なたまごサンドが楽しい喫茶店「若松」

続いて向かったのは、松戸を代表する喫茶店「若松」。お笑いコンビ・さまぁ〜ずによる人気の町歩き番組「モヤモヤさまぁ~ず2」でも紹介され、ママ・典子さんのキャラクターとともに地元に愛される名店だ。

急な階段を上がると、想像よりもずっと広くシックな店内が広がる。
急な階段を上がると、想像よりもずっと広くシックな店内が広がる。
名物ママの典子さん
名物ママの典子さん

ここで出してもらったのが、オムレツタイプのたまごサンド。
ちょうど小腹が空いてきたころだったのがありがたく、さっそく一口いただく。うんおいしい。おいしいのだが、ただ想像とは少し違う風味が口の中に広がっていく。なんだろうと思って見てみると、海苔が間にはさまっていた。それがわかると安心し、噛むほどに実に卵によく合う。

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「このサンドイッチすっごくおいしいです!」
と参加者から声が上がると
「今日のために特別おいしくつくったのよ。あら、ちょっと数足りなかったかしら」
と典子さん。

その後は、ひみつ堂の留美子さんのパートと同じくおしゃべりを楽しむ。
ここでも話題は恋バナに。松戸の名物ママたちは、恋多き女性たちだったのかもしれない。

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「お祭りや」と「酒処ひよし」で松戸の夜を呑む

「若松」から合流してくれたのが、「酒処ひよし」の日吉七緒さん。彼女が「小中学校の先輩のお店なんです」と案内してくれたのが「お祭りや」だ。

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この人数で移動していたので、表通りからは「あれ、なんか映画の撮影やってない?」なんて声も。
この人数で移動していたので、表通りからは「あれ、なんか映画の撮影やってない?」なんて声も。

せまい飲み屋小路を通り抜けていくと、提灯の灯りで彩られたカウンターだけのお店がある。
ここではたこ焼きや豚平焼きなど鉄板を使ったお祭りの屋台料理を楽しむことができる。

出していただいたのは、たこ焼き。塩味のたこ焼きには地元名産の矢切ねぎがたっぷりと乗っている。
その中身の熱さに注意しながら、みな楽しそうに頬張っていた。

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このツアーのラストを彩るのが、戦後に屋台から始まったという「酒処ひよし」。
この日は熱燗と、それに合う品としてカツオのたたき、牛すじの大根煮、サバの煮つけ、天ぷらなどが用意された。みな、どれもおいしそうに口に運んでいる。

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旬の食材を前に「日本では旬のものを食べると、寿命が75日延びるなんて言われているんですよ」と解説してくれる奈緒さんの言葉を興味深げに聞きながら、それでも箸は止まらないといった感じの参加者のみなさん。

ツアー終了後もしばらく「酒処ひよし」で続いた酒宴では、参加者とスタッフの笑い声が途切れることがなかった。

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