本連載では、野本哲平が日々のリサーチで発見(キャッチ)した状況やモノなどを応用し、彼のデザインレーベル「民具木平」の新たなプロダクトとして制作。
ただ採集するだけでなく、完成したプロダクトを路上に放流(リリース)し、還元するという、路上環境に配慮したサステイナブルな企画である。
第1回目は、旅先で訪れたという和歌山県新宮市の町中から。
Text & Photo:Teppei Nomoto
Edit:Akira Kuroki
キャッチ編:和歌山県新宮市の民家
旅先で訪れた和歌山県の新宮市。帰りの東京行きの夜行バスまでは程よく時間があったので、駅の近くを歩いてみる。
中華そば新宮亭、間口およそ1m。
入店しなかったことを後悔。次回こそは入ってみたい。
目標もなく歩いていると、住宅街に位置する民家の出窓の中に、いくつかのコーヒーカップに植えられたサボテンの群れに遭遇した。
違い棚状に首尾よくレイアウトされたコーヒーカッププランツ群が、道を行き交う通行人の目を楽しませていた。
まるで書き割りのような駅前の不思議な風景。日も暮れてそろそろバスが来る頃だ。
さて、今回の民具木平のキャッチアンドリリースでは、前述した新宮で見かけたサボテンを参考に、コーヒーカッププランツをメイクしてみることにした。
メイク編その1:行きつけの店に買い出しへ
まずは、鉢となるコーヒーカップの準備である。
行きつけのリサイクルショップにおもむき、いくつかめぼしいコーヒーカップを購入。
次は、カップに入れる植物だ。
民具木平オフィシャルホームセンターの一つ、スーパービバホーム豊洲店へ。
まずはオリジナルに忠実にサボテンコーナーへ。最初に目があったこの(真ん中の)サボテンにすることにした。
サボテンのコーヒーカッププランツは以前にもメイクして今も家で元気にしていて大切にしてるし、サボテンばかりになってもアレなので、何か食べたり飲んだりできる実用的なエディブルプランツも試してみようと、屋外のハーブ売り場へ。
先に買った、カップのサイズと、値段と欲しい雰囲気とを鑑みて、レモンバーベナとローズマリーを選択。
レモンバーベナは、日本初の「ボタニカル・ブランデー」蒸留所として準備中であるmitosaya大多喜薬草園蒸留所プロジェクトにて、ボタニカルプロダクトの素材として使用予定のハーブでもある。
こちらは別の機会にまた取り上げていけたらと思います。
店員さんに聞いて、ハーブ用とサボテン用の土も買う。
少量に小分けしたサイズで売っているので、非常に助かります。
忘れてならないのが、コーヒーカップの底にあける水抜きの穴。この作業には陶磁器用のドリルを使う。
新宮のコーヒーカッププランツの底に穴が開けられていたかどうかは、確認は取れていないが、根腐れを防ぐため、底の穴は不可欠ということで、こちらの判断で穴を開けることにした。
これで、ビバでの買い出しはおしまい。
これで材料が揃ったわけだが、メイクの前に、ビバに来るときにはたいてい立ち寄る近くの定食屋でしばし腹ごしらえ。
さけ(鮭)バター定食を。時刻17時すぎにして、すでにこんな早い時間から飲み始めている周りの会社員の先輩方。誘惑を断ち切り、店を後にする。
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