出かけたその町で何をして、何を持ち帰ったのか。その町の要素を自宅に持ち帰ったエヴィデンスとして残るもの。例えばレシートがそうだろう。その町で過ごした時間が記録された紙片の裏に、写真家・黑田菜月が日常を綴る。そこから何が見えるか。
Text / Photo:Natsuki Kuroda
Edit:Shun Takeda
4月のダイアリー
4月10日|味の食彩館 登戸店
春のスーパーは楽しい。
皮の厚いそら豆や、やたら「新」のつく野菜が出てきて初々しい。
結局ミニトマトしか買ってないのに、「あとこれで…」と買ってもいない野菜たちでごはんを想像しながら帰る。きっといつか作るだろう。
4月12日|デニーズ豪徳寺店
工事車両の先に照らす光。
空っぽになったテナント。自動ドアを通りぬけて中に入った光。
青信号に変わったと同時にペダルを踏み込む女の子の横顔を照らす。
5時過ぎの町。
4月14日|セブンイレブン登戸店
見に行った物件。
入り口の前に巨大なタヌキの像が口をあけていた。
「露天風呂で一番いてほしくないやつ」と誰かが言っていた。
確かに陰気臭い部屋であった。
4月23日|ユニクロ大丸梅田店
知らない街を散歩する。
4時頃、外で活動するのは子供たちだ。少し日が傾くその時間、彼らの心象風景を今きっと作り出されているんだろう。
黑田菜月 / Natsuki Kuroda
1988年生まれ。2011年、中央大学総合政策学部卒業。2007~2011年、早稲田大学写真部在籍。2012年、第8回写真「1_WALL」グランプリ受賞。
1988年生まれ。2011年、中央大学総合政策学部卒業。2007~2011年、早稲田大学写真部在籍。2012年、第8回写真「1_WALL」グランプリ受賞。