出かけたその町で何をして、何を持ち帰ったのか。その町の要素を自宅に持ち帰ったエヴィデンスとして残るもの。例えばレシートがそうだろう。その町で過ごした時間が記録された紙片の裏に、写真家・黑田菜月が日常を綴る。そこから何が見えるか。
Text / Photo:Natsuki Kuroda
Edit:Shun Takeda
5月と6月のダイアリー
5月1日|鮒忠 竜田町店
うんうんうなって雨の中。
まりこはアジフライを、二人で味そカツを選んで家路へと。
楽しくてあたたかい夕食なり。
5月29日|喫茶クニッテル
店に入ると「犯人は川崎市麻生区の・・・」と聞こえてきた。麻生と書いて「あさお」と読む。
私はすぐにその場所のことを思い浮かべることはできるけど、今日は果てしなく遠く感じる。
5月31日|おみやげ街道 広島店
今回の旅はとてもよかった。
お土産がきちんと買えたという点で。
6月11日|生鮮市場 ヤオシチ
今、無性におばあちゃんに会いたくなった。母でもなく祖母であるあーちゃんに。きっとメールをしたらすぐ返事がくるし会いに行けば、一緒にごはんを食べてくれる。彼女は今、私が住んでいた部屋にいるのだから。でももし会えなくなったら、こんな気持ちになったとき、もし会いたい人に会えなかったら、会うことができない状態だったら? そんなことを想像してみる。
黑田菜月 / Natsuki Kuroda
1988年生まれ。2011年、中央大学総合政策学部卒業。2007~2011年、早稲田大学写真部在籍。2012年、第8回写真「1_WALL」グランプリ受賞。
https://www.kurodanatsuki.com
1988年生まれ。2011年、中央大学総合政策学部卒業。2007~2011年、早稲田大学写真部在籍。2012年、第8回写真「1_WALL」グランプリ受賞。
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