連載シリーズ・シューズラッククロニクルでは、それぞれのシューズラックに現れる靴遍歴から、まち歩きの個人史、その足跡を読み解いていく。
Vol.1 に登場するのは、松戸を拠点にストリートファッションブランド「viccore」を展開する木村貴秀さん。改装した部屋の一角に作られたシューズラックは、お店のディスプレイの様にスニーカーが並んでいた。
Text:Akira Kuroki
Photo:Shin Hamada
「ストリート」を歩いてきた15足
ーお部屋も改装されていて、シューズラックもお店みたいですね。
もともとショップみたいな家に住みたかったというか、普通の家に住みたくなかったので。見せるための収納という感じです。
ーいま何足くらい靴はお持ちですか?
そんなに多くないですけど、15足くらいですね。
これは、ナイキの「AIR FORCE 2」のニューヨークモデルです。ニューヨークを本拠地にするNBAのニックスカラーなんですよ。一番最初に買ったハイカットの靴です。当時はみんな「AIR FORCE 1」に走ってたんですけど、あんまり注目されていない「2」のほうが僕的には良くて。希少価値があるっていうか。
ー確かに「2」はあんまり見ないですね。
見ないですよね。たぶん今はないんですよ。これが一番思い入れがあって、結構履いていました。水がすごい浸みちゃうようになったので、さすがに一度手放したんですけど。でもやっぱりこれが一番かっこいいなと思って、ネットオークションで探したら安く売っていたので、これは2足目です。
ーネットでいくらくらいだったんですか?
5,000円ですね。発売当時も人気無さ過ぎて、それくらいの値段でしたね。「AIR FORCE 2」はもう一足あるんです。
これはグッチカラーで、こだわりポイントとしては、ペイズリー柄がところどころに散りばめられてるところ。それがまたかっこいいなぁと。いまメルカリで白と黒の「AIR FORCE 2」があって、それも状態良さそうだったんで、今度買おうかな。
一番最近買ったのは、SUPRAのベルクロタイプです。新品の靴を買ったのは久しぶりですね。「B-BOY PARK」ってヒップホップのイベントに行ったら、物販ベースのところにSUPRAがあって。通常14,000円なのに、サンプル品が2,000円で売ってて、「安っ!」みたいな。しかもベルクロタイプっていま無いんですよ。それにガムソールってところもまた憎いなぁって。だいたいソールは白色が多いんですけど。この色合いと、このベルクロのフォルムと、買うしかないなと。2,000円なら失敗してもいいやと思って。まぁ失敗しなかったですけどね。
ーハイカットが多いですね
そうですね。ストリートブランドをやるって決めた時からずっとストリート雑誌見てたんです。10年前くらいかな。その時はちょうどハイカットブームだったんですよ。その名残りっていうのもあります。裏原系の、エイプ(A BATHING APE)とか、あの辺が流行ってたときのが好きなんで。ちょうど恵比寿系っていってSWAGGERとか、BALとかが流行ってたくらいのときです。
ーその時は結構買ってましたか?
買ってましたね。靴も今よりも多かったですね。でもなんだかんだ同じモデルを買い直しているのも多いです。原宿界隈はよく歩いていました。
いまのマーチン(国内流通品)って、メイド・イン・イングランドじゃなくて、ベトナム製とかなんですよ。でもこれは本家のメイド・イン・イングランドなんです。これもオークションでデッドストックで売っていて。緑ってそんなに出てないんですよ。緑か黄色が欲しくて、緑を見つけたんで買いました。いまだによく履いてます。
ー結構ネットで靴を買うんですか?
そうですね。最新モデルとかより、ちょっと遅れてるくらいのが好きなんです。だから今更ポンプフューリー欲しくなったりとか。4~5年前だと思うんですけど流行っていたのは。その時代よりかは、あえて今履いた方がかっこいいなと。
ー機能性よりは、見た目重視ですか?
そうですね。ぶっちゃけ機能性と言われても、なにが違うか全くわかんないんで(笑)。