ダンサーとしての経験から生まれたB-BOY彫刻
ダンスを始めてからは、ダンサーの友達も増えてきて、いろんな海外のVHSのビデオが入ってくる。それではじめて「BEAT STREET」とか「WILD STYLE」とかを知ったんですが、それらのB-BOYスタイルは細身だったんです。
当時自分たちはダボダボの太いファッション。ニュースクールから入ってるから、90年代のPUBLIC ENEMY、A TRIBE CALLED QUESTとかが一番最初で、自分の中でダンス、HIP HOPは太いファッションがかっこいいってなってたんです。
だからその細さは衝撃で、裏切られたというか。LeeのGジャンにLeeのジーンズで、足元はPRO-Keds頭にはハンチングを被ってっていうね。全然HIP HOPから想像してたのと違う。いまはわかるけど、昔はそんなこと誰も知らなかったから、「こんなの知ってるの俺らだけだよね」っていう(笑)。それがフレッシュ過ぎちゃった。KANGOLのハットを頭に乗っけてる感じとか。そこから自分の彫刻の、頭の長い造形とかは発想してるんです。
ちなみに彫刻では、上半身はニュースクールのポーズで、下半身だけB-BOYのときがあったりもします。B-BOYのスタイルをそのまま持って来てるわけじゃない。それはただのマネになって、一番おもしろくないと思ってるから。
だからポーズを自分で考えて、それがB-BOYらしいからしくないかを、超主観的だけど判断しています。それでこういう形になってきてる。
ジャージ上下のダサカッコイイ感じも、よく考えるとそれらのファッションが理にかなってる。B-BOYダンスのスタイルとして、細身のほうがフットワークするときに綺麗にみえる。逆にMCハマーとかの立ち踊りは太い感じが服が揺れてかっこいい。そういう風にB-BOYとニュースクールを比較してみるようにもなりました。
だから靴に関して言うと、最初はNIKEのバッシュから入ってるんだけど、ブレイクダンス始めたら、「いや、ADIDAS、PUMA、PRO-Kedsじゃん」ってなってくる。そのときはADIDASのSUPERSTARを履いたりしてたんだけど、自分としては、どうにかNIKEが履きたい気持ちがある。それで、NIKEを履いててもB-BOY感を出せないかなって考えて、「BLAZER」だったら両方いけるんじゃないかと思って。
これはよく履いてたNIKE BLAZER SB。でもいまはスケーターじゃないから、SB(NIKEのスケートボードライン)を履くのはちょっと抵抗がある。最近はスケーターがやっぱかっこいいから、ずるいよね(笑)。
ー小畑さんが作るB-BOY彫刻が履いている靴は?
いまは全部CONVERSEのALL STAR。最初はNIKEとか、ADIDASとかも履かせてるんだけど、途中から全部ALL STARにした。なぜかというとやっぱりALL STARが一番普遍的。かたち的にもシンプルで無駄がないし、マークもないから、どこにでもとれる。いろんな文化で、B-BOYでもロックでもパンクでも、スケーターでも。そういう意味でもALL STARが一番強いなっていう。
自分でもALL STARはずっと履いています。作業用にしてるのは日本製のCONVERSE ADDICTのALL STAR。こっちがMADE IN U.S.Aのやつ。これが一番履いてるかな。やっぱカタチが違うよね。70-80年代のやつかな。
自分の中のALL STARの原点は、実家の前の道をずっと行くと「プロライン」っていう有名なスケートショップがあって(現在は閉業)、俺が小学生の時にそこに怖そうなスケーターのお兄ちゃんたちがいっぱいいた。彼らは、航空公園に自分たちでつくったスケートのランプを持ってて、店からそこまでスケボーで滑って行く(笑)。その時みんなALL STAR履いてたんです。それを見て、超かっこいいって思ってて。みんなおしゃれで、金髪とかで。
これはNIKEから「AIR FORCE 1になにか描いて欲しい」っていう展示のオファーをもらって。そういうの一番やりたくないんだよなあって思って(笑)。それでこれを4日間で速攻作って、イベントで展示しました。いいでしょうこれ。
ー最近の靴選びのこだわりは?
いまはもう別に自由です。いい意味でどうでもよくなりましたね(笑)。あんまりこだわり過ぎてもよくないから。好きなもん履こうっていうのが最近ですね。
B-BOY / 彫刻家 1980年、埼玉県生まれ。
自らもB-BOY(ブレイクダンサー)であり、その身体表現技術や躍動を、”B-BOY彫刻”として表現している。またドローイング、写真、映像などさまざまなメディアによって”B-BOY彫刻”に基づく重力と空間を表現している。近年では3Dスキャンや3Dプリンターを積極的に活用し、彫刻のサイズを変えて出力したり、他の素材に置き換えたり、量産したりと、データから作れる作品にも力を注いでいる。
Instagram: @takuobata
twitter: @TakuSpeFAD