車窓から眺める、見慣れた沿線の風景。なんの変哲もない町並みも、電車を降りて、いつもと違う速度で歩いてみると、予期せぬ出会いや発見が、その町の見え方を変化させていく。写真連載「Sta.to Sta.(ステーショントゥステーション)」は、写真家が一人の女性とひと駅歩き、個人の視点から、沿線の町の魅力と、新たな側面を読み解く企画。写真家は、翻訳家、ライターとしても活動する小嶋真理。
第一回目に歩くのは、美大を卒業後、荒川区内で働く伊澤沙里さん(愛称はサリー)。とにかく歩くのが好きという彼女と、都電荒川線「町屋駅前」駅から、お気に入りの路地裏を経て、隅田川へ。
Photo & Interview:Mari Kojima
Edit:Akira Kuroki
町屋駅前。休日は、おじいちゃんおばあちゃんで賑わう町
ーサリーちゃん、今日はよろしくお願いします!町屋駅はじめて来ましたが、かなり良い雰囲気ですね!
土日祝日は若い人は都会に行っちゃってるんで(この日は祝日の月曜日)、特におじいちゃんおばあちゃんたち多いんです。都電とか乗ると、本当に座れないですよ、おじいちゃんおばあちゃんたちが座れなくなっちゃうから。若者は常に席を立つ!みたいな。すごく良い町です。
ー上品な感じがしますよね。
そんなことはないですけど、この近辺、荒川区のなかでは上品な町ですね。
ーなるほど(笑)
ここの文房具屋さんのおばあちゃんがすごく良くて、優しいんです。息子さんと二人でやっていて。たまに付録とかおまけでくれるんですよ。応援するためにいつもここで文房具買ってます。
ーところでその「BRAZIL」ワンピース!素敵です!
ありがとうございます!これは友達のもえちゃんがやっている古着のリメイクブランド「褻着 kegi」の服です。
ーサリーちゃん派手好きなんですね!とても似合ってます!あら、この家細くないですか?すごい細い!
ほんとだ!細い!(笑)写真撮りましょうか!
ー下高井戸にもめっちゃ細い家ありますけど、それより細いですね。
それ真理さんしかわからないですよ(笑)。
線路沿いから細い路地へ
ーいやぁ、東京ローカルな感じでいいですね。東京育ちじゃないので新鮮です。
このあたりは東京育ちでも新鮮ですよきっと(笑)。6~7年前くらいはもっと古い家とかあったみたいなんですけど、消防車とか通れないくらい道が狭いんですよ。だから新しく建て替えるように行政が補助金だしたりして、ここ最近で結構新しい建物が増えました。
ーそうなんですね。ドアノブに帽子がかけてありますね。町屋スタイルですかね。
町屋スタイル(笑)。でも確かに斬新な洗濯物の干し方をしてる家をよく見かけますよ。階段の手すりにずらっと並べていたりとか。
あっ、ちょっとこの近くのベトナム料理屋さんに寄ってもいいですか?最高のお店があるんです。
ーもちろんですよ!
こんにちは〜!
ー(美濃さん)あら、サリーちゃんいらっしゃい〜!今日もかわいいね!
美濃さんは優しいんですよ~いつも。ここはバナナケーキが絶品なんです!本当に全部美味しいですよ!旦那さんが木工職人さんで、お店の内装とかもやってらっしゃってるんです。
ー素晴らしいですね、ご夫婦の集大成ですね!
美濃さんこれ、お土産にプルーン持って来たんでもらってください!またランチ食べにきますね!
今日はせっかくなのでもう1軒、ずっと気になってるけどまだ行けてないお店に行きたくて。エルヴィス・プレスリー好きのおじさんがやっている喫茶店なんです。エルヴィスファンの人たちの間でも有名なお店らしくて。
ー町屋は名店揃いですね!行きましょう!