かつての景観を思い出す間もなく、日々変化し、移ろいゆく都市と町。2020年を契機に、めまぐるしい速度で新たな風景がつくられる一方、見慣れた建造物や町並みが姿を消していく。そんな失われつつある風景の中に、町角の煙草の煙がある。
一服のひとときは、ひとりの時間や、ささやかな会話を生み出し、路上の風景を確かにかたち作っていた。しかしそれももうじき失われることだろう。本連載は、複数の写真家によるリレー式写真連載。「町と煙草のあいだ」をキーワードに、消えゆく町場を記録し、町の現在を読み解いていく。
第三回の撮影地は、今福華凜と大谷将弘によるファッションレーベル「PUGMENT」が新たにアトリエを構えたという八王子。写真家・細倉真弓が同地を訪ね、彼らへのインタビューも行った。
Photo & Text:Mayumi Hosokura
Edit:Akira Kuroki
Photography by Mayumi Hosokura
八王子にはもしかしたら初めて来たかもしれない。台風が行ってしまって、残った夏の暑い夕方にPUGMENTに会いにやってきた。
駅を下り大きな駅前のドンキホーテを抜けて住宅街を通り過ぎれば、YAMAHA YOU SHOPの看板。そこがPUGMENTのアトリエだった。
ーどうして八王子にアトリエを作ったの?
PUGMENT(以下略):もともと親が人に貸していた家で、一階がバイクショップ。そこが空き家になったので使っています。
ー八王子の街の印象ってどんな感じ?
時間が止まってる。あとちょっとダサい。もしお金があれば世界中の色々なところに拠点をもってみたいけど。でもこの場所のバイクショップの名残の雰囲気は気に入っていて。壁紙もYAMAHAなんですよ。
ータバコは何を吸ってるの?
いまはラッキーストライクのライトです。6mgのやつ。パッケージが日の丸に見える(笑)。
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